薬屋のひとりごと羅漢と鳳仙関係とは?娘猫猫の関係やその後についても

薬屋のひとりごと

薬屋のひとりごとの羅漢と鳳仙の切ない恋物語に心を揺さぶられた方に向けて、この記事をお届けします。

「羅漢は本当に鳳仙を愛していたのか」「なぜ二人は離ればなれになってしまったのか」という疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、羅漢と鳳仙の運命的な出会いから、17年の離別を経て再会するまでの経緯を詳しく解説していきます。

二人の純愛は、相貌失認という障害を持つ軍師と、花街のトップ妓女という身分違いの恋から始まりました。

一夜の逢瀬から生まれた猫猫、そして運命のいたずらによる別離。しかし最後には再会を果たし、短くとも幸せな時間を共に過ごすことができた二人の物語をお届けします。

鳳仙との運命の出会い

国内随一の軍師として知られる羅漢と、六商館最高の妓女・鳳仙との出会いは、同僚の嫌がらせから始まった運命的な邂逅でした。

将棋の名手として知られる羅漢に恥をかかせようと仕組まれた勝負が、二人の人生を大きく変えることになります。

六商館の名妓・鳳仙との将棋勝負

六商館は花街で最も名高い妓楼(ぎろう)でした。

その中でも鳳仙(フォンシェン)は囲碁と将棋の名手として知られる高嶺の花でした。

鳳仙は多くの男性に求められながらも、決して媚びを売ることなく冷淡な態度を貫いていました。

それ故に彼女に会うためには、膨大な金銀が必要だと言われていました。

ある日、羅漢(ラカン)は同僚からの誘いで六商館を訪れます。

同僚たちは羅漢を辱めようと、鳳仙との将棋勝負を企てました。

将棋で負け知らずの羅漢が、一介の妓女に負ければ面白いだろうと考えたのです。

羅漢は最初、鳳仙を「妓楼という囲いの中で酔っ払いにしか勝っていない程度の相手」と舐めていました。

しかし実際の勝負では、鳳仙の圧倒的な実力の前に羅漢は敗北を喫することになります。

初めて認識できた顔

羅漢には生まれつきの障害がありました。

相貌失認(そうぼうしつにん)と呼ばれる症状で、人の顔を認識することができないのです。

母親と乳母の区別すらつかないほど深刻な症状でした。

しかし鳳仙との将棋勝負で負けた瞬間、羅漢に奇跡が起こります。

生まれて初めて、人の顔として鳳仙の顔を認識することができたのです。

それまでの羅漢にとって、人々の顔は碁石のように区別のつかないものでした。

楼蘭の指導により、体格や声で人を判別する方法を身につけていましたが、顔そのものを認識することは不可能でした。

鳳仙の顔を認識できたことは、羅漢の人生における大きな転換点となります。

人生で初めて「顔」という概念を理解し、特別な存在として鳳仙を意識するようになっていったのです。

禁断の恋の始まり

最初の勝負以降、羅漢は3ヶ月に一度のペースで六商館を訪れるようになります。

二人は将棋と碁を通じて、次第に心を通わせていきました

鳳仙にとって羅漢は、妓女としてではなく一人の人間として接してくれる稀有な存在でした。

羅漢も同様に、鳳仙との時間を心から楽しみにしていました。

しかし二人の関係は、身分違いの恋として周囲から認められるものではありませんでした。

鳳仙には既に複数の大名から身請けの話が来ており、羅漢には手の届かない存在となっていました。

この状況を打開するため、鳳仙は決断を下します。

羅漢の子を身籠ることで、自身の価値を下げようと考えたのです。

この決断が後の悲劇を生むことになりますが、当時の二人には未来が見えていませんでした。

たった一夜の逢瀬が、その後の二人の人生を大きく狂わせることになります

悲劇の始まり

六商館の名妓・鳳仙が羅漢との一夜を共にして身籠もったことが、二人の運命を狂わせる転機となりました。

その直後、政治的な混乱により羅漢は急遽都を離れることを余儀なくされます。

互いの消息が途絶えた3年の歳月は、取り返しのつかない悲劇を生むことになるのでした。

身請け前の妊娠

花街において、妓女が身請け前に子を宿すことは決して許されない行為でした。

妓女の価値は「手の届かない高嶺の花」という立場にあり、その価値を自ら壊すことは、妓楼全体の信用を失うことを意味していました。

鳳仙(フォンシェン)は羅漢(ラカン)との一夜の逢瀬で子を宿します。

この行為により、彼女に付けられていた高額な値段は一気に下落。

身請けを望んでいた富豪たちは次々と興味を失っていきました。

緑青館の評判も大きく傷つきました。「妓女の躾もままならない粗末な妓楼」という評判が広まり、館の経営自体が危機に瀕する事態となりました。

館の存続を懸けて、やり手婆は必死の努力を強いられます。

この事態に対し、鳳仙は自分の取った行動の責任を痛感します。

しかし、彼女の心の中には確かな希望がありました。

価値が下がったことで、羅漢による身請けの可能性が高まったと考えていたのです。

都からの突然の離別

鳳仙の希望は、思わぬ形で打ち砕かれます。

羅漢の叔父である楼蘭が後宮での失態により失脚。

この影響で羅漢は都を離れることを余儀なくされたのです。

羅漢の父親は武官であり、息子に対して遠方への遊説を命じます。

当初は半年ほどで戻れると考えられていましたが、実際にはそれは甘い見通しでした。

鳳仙は手紙で羅漢に妊娠の事実を伝えようとしました。

しかし、既に都を離れていた羅漢に、その手紙が届くことはありませんでした

互いの消息が途絶えた状態で、時だけが過ぎていきます。

3年の空白がもたらした悲劇

羅漢の不在は、予想をはるかに超えて3年もの長きに及びました。

この間、鳳仙は館の存続のため、一般の客の相手をせざるを得ない状況に追い込まれます

その結果、鳳仙は梅毒に感染。病は次第に重症化し、鼻が欠け落ちるほどの深刻な状態となっていきました。

時、花街に流れ着いていた医師の楼蘭による治療も、既に手遅れでした。

3年後、都に戻った羅漢を待っていたのは、鳳仙と生まれた子供の指が入った巾着でした。

正気を失いかけた鳳仙が、自分と娘の指を切り落として送ったのです。

慌てて六商館を訪れた羅漢でしたが、やり手婆に追い返されます。

鳳仙は既にいないと告げられ、羅漢は絶望の淵に突き落とされるのでした。

この3年の空白は、二人の人生を取り返しのつかないものに変えてしまいました

実の娘・猫猫との関係

羅漢が娘の存在を知ったのは、都に戻って3年後のことでした。

しかし、猫猫はすでに羅漢の叔父である楼蘭に引き取られており、実の父親としての立場を認めてもらえない状況が続きます。

楼蘭への強い信頼と幼い頃のトラウマから、猫猫は終始羅漢を拒絶し続けるのでした。

猫猫の出生の真実

猫猫は六商館で生まれました。

母親の鳳仙(フォンシェン)は精神を病んでいた時期に、幼い猫猫(マオマオ)の指を切り落としています

この出来事は猫猫にとって深いトラウマとなりました。

生まれた直後の猫猫は、やり手婆と三姫によって育てられました。

妓女は母親になることを許されない立場だったため、表向きは鳳仙との親子関係を隠して過ごさざるを得ませんでした。

猫猫の小指は歪んでいましたが、幼かったため新しく生え変わり、現在は爪だけが歪んでいる状態です。

この特徴的な小指は、後に羅漢が実の娘を見つける重要な手がかりとなります。

妓楼で育った猫猫は、母親について複雑な感情を抱いています。

血のつながった実母でありながら、幼い自分に危害を加えた存在として記憶に残っているためです。

楼蘭による養育の理由

楼蘭は羅漢の叔父であり、猫猫の養父となった人物です。

楼蘭は羅漢宛の手紙を見つけ、その内容から猫猫の出生の真実を知っていました

にもかかわらず、彼は敢えて羅漢に真実を告げませんでした。

その理由は、鳳仙を傷つけることになった羅漢への制裁の意味がありました。

楼蘭は鳳仙の苦しみを知っており、簡単に羅漢を許すことはできないと考えたのです。

花街という環境で育つ子供を心配する気持ちもありました。

小さな子供を守れなかった父親に、簡単に娘を引き渡すことはできないと楼蘭は判断したのです。

父として認められない苦悩

羅漢は猫猫を見つけた時、顔が認識できない障害を持ちながら、不思議なことに彼女の顔だけは認識することができました。

これは鳳仙の顔が認識できたのと同じ現象でした。

しかし猫猫は羅漢のことを生理的に受け付けない様子を見せ、父親として認めることを頑なに拒否します。

羅漢が父親面をする度に、猫猫は嫌悪感を示しました。

羅漢は家督を奪い取り、六商館への損害金を倍額で返済するなど、10年以上かけて猫猫を引き取る準備を進めました。

しかしその努力も報われず、猫猫は壬氏に見受けされることになります

羅漢の溺愛ぶりは周囲から見ても度が過ぎるものでした。

壬氏への嫌がらせや、宮廷での度重なる接触など、彼の行動は次第にエスカレートしていきます。

このような過剰な愛情表現が、逆に猫猫との距離を広げる結果となってしまいました。

17年後の再会

猫猫との将棋勝負に敗れた羅漢は、六商館で一人の妓女を身請けする権利を得ます。

それは思いがけない形で、17年もの歳月を経て鳳仙との再会をもたらしました。

梅毒により美貌を失っていた鳳仙でしたが、羅漢は迷うことなく彼女を選び、最期の1年を共に過ごすことになるのです。

猫猫との将棋勝負の真相

猫猫(マオマオ)は羅漢(ラカン)の執拗な関与に終止符を打つため、賭け将棋を提案します。

勝負の条件は、羅漢が勝てば猫猫が娘として一緒に暮らし、猫猫が勝てば羅漢は六商館の妓女を1人身請けするというものでした。

勝負には特別なルールが設けられました。

負けるたびに毒入りと称する酒を飲むこと、5回戦で3回負けた方が敗者となること、どんな理由でも試合を放棄したら負けとなることです。

猫猫は将棋の基本ルールしか知らない素人でした。

予想通り最初の2戦で負け、2杯の酒を飲みます。

しかしこれは実は猫猫の計算通りの展開でした

羅漢は愛する娘に3杯目の毒を飲ませることができず、3戦目で意図的に負けを選びます。

羅漢が酒を飲んだ瞬間、勝負は決しました。

羅漢は実は極度の下戸で、1杯の酒で意識を失ってしまう体質だったのです。

試合続行不可能となり、約束通り羅漢は六商館の妓女を身請けすることになりました。

六商館での運命の再会

六商館で妓女を選ぶことになった羅漢は、当初メイメイを選ぼうと考えていました。

メイメイは昔から羅漢に親切にしてくれた妓女でした。

しかしメイメイは羅漢を病人部屋へ導き、17年ぶりに鳳仙との再会を果たさせます

病人部屋にいた鳳仙は、梅毒により鼻が欠け落ち、かつての美しさは失われていました。

それでも羅漢は彼女の歌声を聞いて即座に鳳仙だと気付きます。

羅漢は「10万でも20万でも出す」と宣言し、鳳仙の身請けを決意しました。

この再会には猫猫も一役買っていました。

彼女は羅漢に青い薔薇の造花を届けており、これは「たとえ枯れても形を保つことができる」というメッセージが込められていたのです。

鳳仙の身請けと最期の1年

身請け後、羅漢は7日7晩の宴を開いて祝宴を催します。

猫猫は宮廷の塀の上から、二人のために祝いの舞を披露しました。

素直に祝福の気持ちを表すことはできませんでしたが、両親の再会を静かに見守ったのです。

身請け後の二人は、毎日のように碁や将棋を打って過ごしました。

羅漢が仕事で不在の時も、一手ごとに伝令を往復させて対局を続けました。

羅漢は周囲に「頭の切れる妻」と自慢げに語り、妻との時間を心から楽しんでいた様子でした。

しかし鳳仙の病は既に重症化していました。

楼蘭の治療も及ばず、身請けから1年後、鳳仙は羅漢に看取られながら息を引き取ります

最期は愛する人のそばで、好きな碁を打ちながら穏やかに過ごすことができました。

鳳仙の死後、羅漢は二人の思い出を残すため、碁の本を出版します。

この本は初心者にもわかりやすい解説と共に、二人の対局を記録として残したものでした。

本は大きな反響を呼び、都で碁のブームを巻き起こすことになりました。

羅漢と鳳仙の愛の形

鳳仙との最期の1年を経て、羅漢は亡き妻への想いを碁の形に昇華させていきます。

二人が最も心を通わせた囲碁を通じて、フォンシェンの遺志を後世に伝えようとした羅漢の取り組みは、純粋な愛の証となって多くの人々の心を動かすことになりました。

碁の本の出版

鳳仙(フォンシェン)との最後の対局は、途中で終わってしまいました。

羅漢(ラカン)はその未完の一局に強いこだわりを持ち、何度も碁盤と向き合い、鳳仙の打ちたかった手を考え続けました

解析の結果、羅漢は驚きの事実に気付きます。

一見すると悪手に見えた鳳仙の最後の一手は、実は黒の一目半勝ちへと繋がる妙手だったのです。

この発見を機に、羅漢は碁の本の出版を決意します。

本の内容は、初心者でも理解できる解説書として編集されました。

棋譜(きふ)を丁寧に解説し、要所となる場面には詳しい説明を加えた本格的な指南書となっています。

特筆すべきは、この本が写本ではなく印刷物として大量生産されたことです。

羅漢の部下たちが代筆を手伝い、多くの人々の手に届くよう工夫されました。

将棋では無敗の実績を持つ軍師による碁の本は、たちまち評判となりました。

囲碁大会の開催

碁の本がブームを呼んだことを受け、羅漢は囲碁大会を主催します。大会の特徴は、参加者数に制限を設けないことでした。

できるだけ多くの人に碁を楽しんでもらいたいという羅漢の想いが込められていました。

大会の開催には莫大(ばくだい)な費用が必要でした。

羅漢の甥である羅漢は、叔父の借金返済に奔走します。

身請け代や後宮の壁を壊した修理代など、費用捻出のため様々な工夫を凝らしました。

その一環として、「羅漢に囲碁で勝てば一度だけ願いを聞いてもらえる」という噂を流し、挑戦権を銀10枚で販売する策も講じられました。

この金額は当時の5ヶ月分の食費に相当する高額でした。

鳳仙への永遠の愛

羅漢は鳳仙との再会後、半月もの間仕事を休んで共に過ごしました。

二人は毎日のように碁や将棋を打ち、失われた時を取り戻すかのように時を過ごしました

周囲の人々は、羅漢の様子が明らかに変わったと証言しています。

鳳仙の死後、羅漢は父親の元を訪れ、今更ながら結婚の挨拶をしています。

当時の身請けは通常、妾(めかけ)として迎える形でしたが、羅漢は正式な妻として鳳仙を迎えていました。

碁の本の出版や囲碁大会の開催は、鳳仙への追悼の意味も込められていました。

鳳仙が愛した碁を広めることで、彼女の存在を永遠に残したいという羅漢の想いが形になったのです。

二人の愛は、「碁が打ちたい」「将棋をやりたい」という言葉に込められていました。

これは二人にとって「一緒にいたい」という気持ちを表現する特別な暗号でした。

形を変えながらも、羅漢の鳳仙への愛は永遠に続いていくのです。

まとめ

  • 同僚の嫌がらせで仕組まれた将棋勝負が、思いがけず二人の運命的な出会いとなりました
  • 生まれつき人の顔が認識できなかった羅漢が、初めて人の顔として認識できたのが鳳仙でした
  • 高額な身請け金が必要な鳳仙に近づくため、妊娠という手段を選んだことが悲劇の始まりとなりました
  • 羅漢の不在中に鳳仙は梅毒に感染し、その病が二人の未来を大きく変えることになりました
  • 猫猫との将棋勝負に敗れた羅漢は、思いがけず病人部屋で鳳仙と再会を果たしました
  • 再会後、毎日のように碁や将棋を打ち、羅漢は愛する妻との時間を大切に過ごしました
  • 鳳仙の死後、羅漢は二人の思い出を込めた碁の本を出版し、多くの人々に碁の魅力を伝えました

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